自分が費用対効果優先で行動するなら、相手もそうしてくる覚悟がいるよね

アメリカの近未来は「エリジウム」か「新社会」か - teruyastarはかく語りき

 自分はこの実験がうまくいくとはとても思えんのですが。

 たとえば、サンディ・スプリングス市では通報があってから90秒で警察や消防が出動しなければならないと決められてるわけですが、現場についてから警察官や消防士が何をしなければならないかまでは決められてないわけですよね。
警察官が現場についてみたら武装した強盗団が裕福層の豪邸を襲っていたとして、はたして危険をおかして強盗団をとめるでしょうか?自分だったらしません。適当に威嚇射撃したらあとは見物してますよ。
裕福層の豪邸で火事がおきたとして、到着した消防隊員は自分の危険をおかしてまで富豪をたすけにいくでしょうかね。「火の回りがはやくてとても近づけませんでした。」といえば、消防士を責めることができる人はいないでしょう。
もし自分が時給100ドルの裁判長だったらやることはただ一つ、裁判をやたらと引き延ばすことです。

 自分が道徳や倫理を無視して費用対効果優先でうごくのなら、当然のことながら相手も同様に行動することを覚悟する必要があるわけで。
ではなぜいまサンディ・スプリングス市でそのようなことが問題になっていないか(いや、実際のところ小さな問題はすでに起きてると思いますが)。
いままで、道徳や倫理のもとで動いてきた人間が費用対効果優先でうごくようになるまでにはかなりの時間がかかるからです。
道徳や倫理っていうとかっこ良く聞こえるけど、いってることは「短期的な利益を追求してずるをすると後でひどい目にあうぞ」という脅しなわけです。
その脅しが解けて「あれっ、道徳を無視して費用対効果優先しても、罰はあたらないじゃないか」と気づくまでは、たとえ費用対効果優先のほうが得だとわかっていてもそのようには動けないわけです。
そのかわり、一人がそれに気づいて行動してしまえば、周りの人もそれをみていっせいに費用対効果優先で行動しはじめます。
脅しから完全に抜けきっていない人は自分一人で行動するのが怖いので、まわりのひとも誘いはじめます。
また、あいかわらず道徳や倫理を優先して行動してる人間を馬鹿にしたり、いじめたりするでしょう。そうなれば一気に状況は変化します。
それは、過冷却状態にある液体が何かの衝撃でいちど核となる結晶ができてしまえば、全体が一気に結晶化してしまうのににています。
そういった相転移はすでに日本でも起きていて、たとえばすき屋の閉店騒動や大阪市の教頭不足、地方の医師不足問題などが典型例だとおもうのですが、自治体レベルでそれに挑戦するなんてほんと、勇気があります。

 サンディ・スプリングス市はいまはとりあえずうまくいっているようですが、このままうまくいくでしょうか?自分にはとてもそうはおもえませんが。
teruyastarさんは「有能な経営者レベル市民」といっていますが、「通報があってから90秒で出動」なんてルールはマイクロマネジメントの典型例であって無能な経営者のいかにもやりそうなことに思えます。
まあ、日本人としてはどちらに転んだとしても面白いからもっとやれとしか思わないんですが。

 

「浮力と重力で発電」の原理に感動したので、ちょっくら解説してみる

数日前から世間をちょっとだけ騒がせたhttp://sankei.jp.msn.com/science/news/110626/scn11062612000001-n5.htmだけど、カムイロケットで有名な永田先生が「そうかぁ、という感動以外何も得られません。」なんておっしゃってたので、ちょっと調べてみたら本当に感動したので解説してみます。


まず、あの装置で一番気になる部分は水圧に逆らってピンポン玉をどうやって水中に投入するかっていう部分だと思う。「重力と浮力で発電する装置」の簡略・効率化だと、弁を3つ使ってやってるんじゃないかと推測してるわけだけど、実はそこまで複雑なことしなくても水中にピンポン玉を投入できるよってのがこの発明の肝なわけです。まあ、この発明の方法でも十分複雑だし効率の悪い水力発電って言う結論は変わらないわけだけど。


実はこの絵のように高い方の水面が大気に触れていなければ、大気圧>水圧の関係が成立している限り弁がなくても水面の高低差を維持できるし、ピンポン玉も普通に水面に入っていけるわけです。ちなみに、水面の高低差が10mぐらいで大気圧=水圧になってしまうのであの装置の高さは最大でも10mを超えられないと思います。あと、このままだと、高い水面のほうからピンポン玉を取り出せません


そこで、水の入っている管の途中に下から上には物を通すけど、上から下には移動できないような弁を取り付けます。もしそのような弁ができれば、水面も維持できるし、ピンポン玉も上からとりだせるしで万々歳なわけですけど...


しかしそんな都合のよい弁が開発できるかというとやっぱり難しいでしょう。ピンポン玉が弁を通るときに、弁が開くのでどうしても水が上から下に落ちてしまいます。そこで、弁を2つつけることにします。こうすると弁が2つ同時に開くことはないので水が下に落ちることはなくなります。実際のあの発明では弁が2つでは足りなかったらしく、ピンポン玉が落ちていく管にも空気が入らないように弁を2つつけているみたいです。

で、これだけ苦労して何ができるかというと、どんなに理想的に進行したとしても、ピンポン玉を持ち上げるかわりに、同体積の水を同じ高さだけ落下させてるわけです(実際にはいろいろなロスでこれよりも悪い)。もちろんピンポン玉と水とでは水のほうが重いので、それだったら水で直接発電したほうが早いってことになるわけですけど...

でも、この機構自体は大変面白いんですよね。「夢のエネルギー製造装置」なんてあやしい紹介されなければもっと評価されてたんじゃないでしょうか。